「空室になっている物件をどうにかしたい」「民泊にすれば収益性が上がるかも?」そう考えているオーナーの皆様へ。
民泊は確かに魅力的な選択肢ですが、通常の賃貸とは異なる初期費用やランニングコストがかかるため、慎重な判断が必要です。
本記事では、民泊運用を検討するオーナー向けに、初期費用とランニングコストの詳細を解説し、民泊が本当に適しているのかを考えるポイントを紹介します。
1. 民泊の居室構造設備要件と規制
民泊では通常の賃貸とは異なり、運用するために満たすべき居室構造や設備要件が存在します。特区民泊と住宅宿泊事業法(民泊新法)では規定が異なりますが、基本的には以下の要件を満たす必要があります。
(1) 居室構造要件(特区民泊の場合)
国家戦略特別区域法施行令に基づき、以下のような条件が課されています。
- 一居室の床面積は、25平方メートル以上であること。
- 出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
- 居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること。
- 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること。
- 台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること。
- 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具及び設備、清掃のために必要な器具を有すること。
さらに大阪市では、
- 飲用に適する水の供給設備を設けること
- 電子レンジ、コンロなど加温できる調理器具を設けること
- 掃除機、雑巾、ごみ箱などの清掃器具を有すること
出典:大阪市健康局「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドライン」
特区民泊として運用できる物件には上記のような規定があります。
賃貸物件の場合、契約書上で民泊が可能となっているかどうかも確認事項になります。
まず、条件を満たす物件であるかどうか確認するところから始めましょう。
(2) 180日規制(住宅宿泊事業法の場合)
特区民泊であれば年間を通して営業できますが、住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間180日までしか営業できないという規制があります。
そのため、フル稼働できないリスクを考慮し、採算が合うか慎重に検討する必要があります。
とはいえ、180日規制の中でも成功している事例もあるため、一概に否定はできません。ただし、投資のリスクとリターンが見合っているかどうかをしっかりと判断しましょう。
2. 民泊の初期費用
(1) 消防設備の設置
特区民泊(大阪市など)や住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊では、煙感知器・消火器・避難経路の表示などの消防設備の設置が義務付けられています。
- 消防設備設置費用: 10万円〜30万円
賃貸物件で貸す時以上の設備が求められます。
(2) 内装・家具・家電の準備
民泊運用では、家具・家電を揃える必要があります。
通常の賃貸と異なり、すぐに宿泊できる環境を整えるため、以下のような費用がかかります。
- ベッド、ソファ、テーブルなどの家具: 20万円〜
- 冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電: 15万円〜
- カーテンや照明、アメニティ類: 5万円〜
合計すると40万円〜の初期投資が必要になります。
家具・家電は、ジモティーやメルカリなどの中古をうまく利用してコストを抑えることもできますが、「すぐ壊れる」「汚れが目立ちすぎる」となると口コミが大切な民泊ビジネスではマイナスになってしまうことも。
利用者の使用方法で壊れてしまうこともあるため、必ずしも高級品を用意することが大切なわけではありませんが、状態の確認は怠らないようにしましょう。
(3) 民泊許可申請・行政手続き
特区民泊では自治体への申請が必要です。申請に伴い、必要な書類作成や手続き代行を依頼すると、
- 行政書士への依頼費用: 約20万円
- 必要な登録料や書類をそろえるための費用: 数千円〜数万円
行政書士に頼まずに書類を自分で用意することで費用を抑えることができますが、必要書類が細かく、お忙しいオーナーにはかなりのマンパワーが必要でしょう。
また、許可が下りるまでの期間も考慮する必要があります。
弊社の管理物件を民泊運用し始めたときは、書類不備なく提出してから約1.5カ月かかり登録となりました。
繁忙期に間に合い、良いスタートが切れるように余裕をもって準備できるといいですね。
(4) WEB広告・写真撮影費
民泊は「集客がすべて」と言っても過言ではありません。予約サイトに掲載するためのプロによる写真撮影やWEB広告の打ち出しが収益に直結します。
- プロの写真撮影: 3万円〜10万円
- 広告運用費(SNS・Google広告など): 月3万円〜10万円
賃貸管理とは異なり、WEB広告費が必要になる点が大きな違いです。
写真撮影やWEBでの打ち出し方に関しては安いサービスやクラウドソーシング(個人の方に仕事を発注できるシステム)を使うと費用面で抑えることができますが、民泊の視点を持っていないと「安物買いの銭失い」になってしまうかも。
3. 民泊のランニングコスト
民泊には賃貸管理と異なるランニングコスト(月額費用)も重要な視点です。
(1) 清掃費用
通常の賃貸では入居者が掃除をしますが、民泊では毎回の宿泊後に清掃が必須です。
- 清掃費用(業者委託): 1回5,000円〜1万円(宿泊数により変動)
(2) 光熱費・インターネット費用
光熱費はオーナー負担となり、一般の賃貸よりも高額になります。
- 電気・水道・ガス代: 月1万〜3万円
- Wi-Fi(宿泊者用): 月3,000円〜5,000円
(3) 民泊運用管理費
運用を自主管理する場合は手間がかかるため、代行業者に依頼するケースが多いです。
- 民泊運営代行費用: 売上の10%〜30%
(4) 予期せぬトラブル対応費
- 設備故障(エアコン・給湯器など): 数万円〜
- クレーム対応・保険: 民泊専用火災保険などのサービスの利用検討も
民泊の運用には、思いがけないトラブルがつきものです。
電気・水道・ガスなどのライフラインのトラブルなど、民泊で急に利用料が増え、思いがけないトラブルになることも。
初期費用もランニングコストも余裕を持った設定ができているかが大切ですね。
ただし、民泊運用に関するサービスは多く存在しているため、過剰なサービスを契約してしまう可能性もあります。サービス内容を確認しておきましょう。
4. まとめ
民泊は通常の賃貸運営の「不労所得」としてのうまみとはちがい、臨機応変な対応が求めらる労働型ビジネスであり、運用に手間がかかる点が大きな違いです。
180日規制の影響も考慮すると、リスクとリターンが見合っているのか慎重に検討する必要があります。
弊社は民泊代行業者ではなく、管理会社として、「物件を活かす方法の一つとして民泊も検討できる」というスタンスでサポートしています。
「民泊にするべきか?賃貸で大丈夫なのか?」悩みは尽きないかと思います。長い将来を見据えた物件のオーナーの物件ごとに最適な形をご提案いたします。
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